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 過去を振り返る 後編
2008年04月27日 (日) | 編集 |
後編は「過去を振り返る」というテーマとは大部分が外れるが、中編に関連しての続き話、故に余談編とでも言える。今回もこれまた揚げ足取りのように捉えられかねない上に、野暮な事であるのは重々承知の上で、トンデモレベルの珍説が連鎖した事例を取り上げておきたい。当初はURL等は伏せておこうと考えたが、それでは話が説明しづらく、この事例の孕んでいる意味内容も伝わらないだろうと判断し、今回はその該当記事のURLを示すことにした。○ちゃんねらーみたいに晒して…と思われるかもしれないが、ネット上で何かしらの情報を公開するということは批判対象にされうるということである。

たまたま、愛飲させて頂いている清酒の一つ「旭若松」に関してヒットしたブログ記事を拝見した。バースタイルの飲食店のブログの様子であり、「蒸留酒と醸造酒」というテーマで話を進めており、それぞれについて解説をしている。要約すると醸造酒を蒸留すれば蒸留酒なんですよ、と、そういう内容である。ビールを蒸留すればウイスキー、日本酒を蒸留すれば米焼酎だと、そのような短絡的な話で、それ自体は特にどうということは無い。しかし、その後に次のような説明をされていた。

「意味が違う事として、甲類焼酎はエチルアルコールを希釈して作ったものなので、醸造酒を蒸留したお酒とは違います」
出所: http://taiichi.exblog.jp/8380599/

私、あまりに予想外の文言に一升瓶の底でぶん殴られたが如く思考停止してしまった。どこをどう解釈すればこのような説明が出てくるのか。

乙類焼酎(本格焼酎)との違いで甲類焼酎の定義の要点だけ述べると、(1)連続式蒸留器を用い、(2)アルコール度数を36度未満に調整したもの、となる。そもそも焼酎とは何かという点については、東京国税局の説明を引用しておこう。

「酒税法では、しょうちゅうを次のように定義しています。

アルコール含有物を蒸留した酒類のうち、
A 連続式蒸留機で蒸留したもので、アルコール分36度未満、
B 単式蒸留機で蒸留したもので、アルコール分45度以下
のもので、ウイスキー、ブランデー、ウオッカ、ラム、ジンなどに該当しないものをいいます。

また、A に該当するものを連続式蒸留しょうちゅう(引用者注:甲類焼酎)、B に該当するものを単式蒸留しょうちゅう(引用者注:乙類もしくは本格焼酎)に区分しています」
出所:http://www.nta.go.jp/tokyo/shiraberu/sake/abc/abc-shochu.htm
(気になる方は酒税法もお調べ下さい)

また、甲類焼酎の製法としては酒類総合情報研究所情報誌の記事がイメージを掴みやすいかと思える。ともかく、発酵により糖分をアルコールに変え、蒸留するという点では甲類も乙類も違いは無い。エチルアルコールと表現すればさも化学的に合成した、とイメージしたのかもしれんが、エチルアルコール・エタノール・酒精などの言葉、全て同意義で同じものを指す。単にアルコールと言った場合もエチルアルコールのことを指すのが一般的で、例えば『広辞苑(第五版)』における「エチルアルコール」の項では「単にアルコールともいう」と記されており、「アルコール」の項では「最も普通なものはエチル-アルコールで、一般には単にアルコールといえばこれを指す」と記している。実際、酒類の成分はエチルアルコールである。なので、「純米酒の成分の約五分の一はエチルアルコールです」という説明も成り立つのである。件の記事内容では、醸造酒と蒸溜酒の説明の際は「アルコール」と表現しているのに甲類焼酎の時だけ「エチルアルコール」と表現しており、自らの用いている言葉の意味を全く精査していないことが丸わかりである。また、発酵・蒸留により得たアルコールを希釈、つまり加水すれば「醸造酒を蒸留したお酒」で無くなるのなら、世の大半の蒸溜酒がその範疇から外れることになる。出鱈目にもほどがある。

そもそも、この飲食店は何を思ってそんなことを書いたのかというのが気になってしまった。そう思って検索してみたら、案の定、同じようなことを書いているサイトが出てきた。どうやらこの御仁のこの解説を参照したのは間違いなかろう。google大先生ではヒットしないが、yahoo検索で「醸造酒」「蒸留酒」のキーワードで検索すると4番にヒットする。このHPは現時点で最終更新日が2007年10月21日であり、先のブログは2008年3月5日の記事である。該当部分を引用すると以下の通り。

「例外というのは日本で売られている甲類焼酎。これは本来工業用に作られたエチルアルコール等を希釈して作った物なので、醸造酒を蒸留して作る蒸留酒とは全く意味合いが違います」
出所:http://www2u.biglobe.ne.jp/~mizunagi/sake-jyou.htm
→連続式蒸溜機を用いれば工業的で、単式蒸溜機を用いれば工業的では無いとでも言いたいのか? そもそも世にある蒸溜酒でも、グレーンウイスキーやドライ・ジン、ウォッカ、ライト・ラムなどは同様の製法で連続式蒸溜機を使用する。

部分的に変えているが、醸造酒と蒸溜酒の話の流れは全くそのままといえる。そもそも、先に出てきた飲食店の方、盗作まがいの行為云々以前にこんな出鱈目な話をそのまま述べてしまうのは自らで店の評判にレッテルを貼るようなものだ。情報の出典を示さない個人ページの情報を、いかにも事実であるかの如く用いるのはどれだけ危険なことなのか、考えて頂きたい。(以下、罵詈雑言は省略)

まぁ、何が言いたいかというと、前回の記事で主張したかったことで、そのテーマ(特に制度上の解説や蘊蓄を述べる場合)を選んだのなら取り上げる対象の情報を精査してから書け、というやむにやまれぬ訴えなのだ。これをあえて述べたのは、いい加減な話を書くとこのような「ウソの連鎖」にもつながる為だ。もしこの飲食店で予備知識を持たない客に対してこの説明をしてしまうと、それが出鱈目話であったとしても真実だと思い込んでしまう場合があり得る。醸造アルコールと同様に、甲類焼酎にもそれだけ偏見があるということの証左かもしれんが、だからこそ、自分勝手なイメージだけではなく正確に捉えねばならんのではないか。

気にいらんものに対して、批判に結びつけて自分勝手な主張を通そうとすると、出鱈目な理由付けでも何でもいいからとかく悪く言おうとしてしまうものだ。都合の良い情報だけを引っ張ろうとしてしまうものだ。また、今回の連続記事の前編での話に関連するが、何らかの主張や説に依拠する場合でも、無批判で受け入れてしまうのも都合の良い情報だけを引っ張ろうとする行為を引き起こしやすい。そのような行為を戒めることを自分に対する教訓とも捉えつつ、この連続記事を終了したい。
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