日々の晩酌を中心に、時々我が家の虎猫兄弟なブログ。
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 玉を利かす、「辨天娘 純米酒 五百万石」
2009年03月03日 (火) | 編集 |
2009年3月2日

昨日3月1日は月初めの日曜ながら休肝日にしていた。その前日の外呑みに起因することながら、それまでに休肝を飛ばしまくっていたしわ寄せが来たと言うことで素直に胃薬飲みつつ休肝(正確には休胃と言うべきなのだが)とした。

本日は寒の戻りと言うべきか、グッと冷え込んだ。自転車に乗っているとよくわかるが、風がやたらときつかった。一方で、快晴で空気も澄んだ一日、夜のとばりが訪れてから、星空も綺麗なものだ。

さてと、夏でも関係なしにするのだが、寒日は特に燗酒が好ましい。焼酎の湯割りでも良いのだが、身体が温まるというイメージでは清酒が圧倒的に勝る。どうしても、日本の焼酎の本場は温暖な土地に偏っているためである。

本日の晩の主菜は豚の生姜焼き、こうなると焼酎を志向してしまうものだが、今回はあえて清酒にて、鳥取の太田酒造場「辨天娘 純米酒 五百万石」を割水燗で頂く。きっちり発酵仕切った軽快さながら開栓してから一月近く(最初に呑んだ記事を確認したところ2月3日)経つことから味乗りして米由来と言うべき旨味が感じられる。そして酸味が風味の骨格を成しており、充足感をたたえつつ料理にしろ酒にしろ次の一口を誘う。肉料理にも全く違和感なし。私が鳥取酒に期待する風味・呑み心地に見事に答えてくれている。

辨天娘H19その3

ところで、この「辨天娘」は原酒ではなく15~16度と一般的な加水が施されているものである。それでも割水をかけても特に薄いということは感じられない。加水やら割水やらと違う言葉を用いているが、基本的には同じ行為である。私のする割水燗は、清酒で一般的な度数である15~16度でもワインに比べれば濃いとする故上原浩氏の言に則っているのが原点にあったりする(ただし、氏の主張におけるアル添酒は割水に向かない、燗にも向かないというイメージをすり込むかの如くの記述は甚だ疑問である。それでは世に存在する加水調整したアル添酒は全て欠陥商品ということになってしまう)。

ともかく、造り手で加水するのなら呑み手でも加水して楽しむのは全く違和感がないことである。また、和 醸 良 酒さんが以前に『もやしもん』に触れながら取り上げられているが、昔の酒屋での小売りは樽酒の量り売りだったため、酒質の状態に合わせて酒屋で加水調整をしていた様子である。『もやしもん』ではこの言葉は出てこないが、こういった清酒に加水することを「玉を利かす」と言われた。そこに酒屋での調整の妙味があったわけであるが、玉を利かせても酒質が崩れないものが重視された側面があったのだろう。

一方で「金魚酒」やら「むらさめ」と揶揄されるような「玉を利かす」を通り越した薄いだけの酒の出現もあり、その点に関して坂口謹一郎は「「玉をきかす」ことは小売酒屋の金もうけの大切な手であった。従って酒屋では、「割りのきく」酒がよろこばれ、またその逆に消費者側としては、その災厄をまぬかれるために、酒の濃度にはおそろしく敏感にならざるを得なかった」とし、「「これは濃い酒だ」というのが、すなわち酒の最大の賛辞として、誰も怪しまないという奇妙な風習が抜けがたいことになった」と述べている(坂口謹一郎『日本の酒』岩波文庫、2007年、65ページ。初版は岩波新書、1964年)。

昨今でも「無ろ過生原酒」が決まり文句としてもてはやされたように、原酒、つまりは(ほとんど)加水されておらずアルコール度数の高いことに価値を見出す傾向は今でもあるだろう。ま、原酒を原酒として楽しむのは私も右に同じなのだが、今回のように玉を利かせても酒質が崩れず、むしろ玉を利かすことで味わいの楽しみを減ずることなくスルスルと身体への負担を減じながら飲めることが最近では好ましく感じられるわけである。原酒が一般化していることもあり、「玉を利かす」ことを呑み手にとっての楽しみとするのもまた一興。

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コメント
この記事へのコメント
名文句
「玉を利かす」って、名文句ですなぁ。
いや、良い言葉を教えてもらいました。
2009/03/03(火) 09:02:21 | URL | 太鼓持 #-[ 編集]
Re: 名文句
太鼓持さん、酒の文化が生み出した粋な表現の一つだと思いますね。
酒を薄めることへのマイナスイメージからか、昨今では滅多に使われない
ように思います。私も知ったのは最近のことですし。
一昔前の書籍や酒の歴史を扱った資料ではちょくちょく出てきますわ~
2009/03/03(火) 09:36:28 | URL | こねくろ #-[ 編集]
日本酒恋し
すっかり日本酒・焼酎からは遠ざかっていますが、こういう記事を拝見すると喉が鳴りますね(涎)。「燗」や「玉を利かす」楽しみ方をする醸造酒は、世界でも稀でしょう。しかも、日本酒ほど複雑、かつ洗練された文化を持つ酒はないのでは、と改めて贔屓目にみてしまいます。
2009/03/07(土) 19:14:44 | URL | 和 醸 良 酒 #en9qG856[ 編集]
和醸良酒さん、帰国が楽しみですね~
日本酒にはそのものに文化があるのと同時に、
日本の文化・歴史と密接に関わって今に至る
ということを夙に感じます。

日本酒が日本ですらマイナスイメージを伴った
マイナーな存在になっている。
実にモッタイナイことです。
2009/03/08(日) 10:15:10 | URL | こねくろ #RuqWbrxY[ 編集]
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