日々の晩酌を中心に、時々我が家の虎猫兄弟なブログ。
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 普通の人にとっての日本酒、ヤヤコシイ日本酒?
2009年01月06日 (火) | 編集 |
正月早々だがこんな話題、少し前のことだが電車に乗っている時のこと、すぐ後ろに立っていた男女の大学生らしき二人の会話が聞こえてくる。コンパなり、だれかの下宿で呑んで酔いつぶれ、どういう失態をしたかということが主な会話内容だったが、そのうちになにを飲んだかの話になり、おきまりの如く「日本酒は悪酔いする」ということを言い始めたわけである。男性の方が女性にその理由を説明し始める。曰く「アルコール構成が焼酎など蒸留酒と違うらしくて悪酔いしやすい」、曰く「分子構造が違うらしい」云々。ホントにわかって言っているのか、それがホントに悪酔いと関係あるのか、科学的に証明されているのか確認したんかいな?と、ツッコミたいところで駅に着いてしまったのでその後の話の顛末は定かではないが、そういう“なんちゃって科学”でもっともらしい理由付けをして、何としても日本酒が悪酔いの原因であるというように話を持って行きたがる人が多い、という気がする。

そもそも、悪酔いするぐらいに呑み散らかした自分自身を棚に上げて、「あのとき悪酔いしたのは日本酒を飲んだせいだ」と責任転嫁をして吹聴する。それを耳にした人が「日本酒は悪酔いする」ものだとすり込まれ、その理由に「分子構造が違う」とか、「蒸留酒のアルコールの方が悪酔いしにくい」とか、「日本酒は醸造酒だから悪酔いしやすい成分が多い」とか、もっともらしい根拠を後付けしていく。これは特にネガティブなイメージの方の場合だろうが、どうにも「日本酒はヤヤコシイ」というイメージを持っていて、どうにも滅多に呑むことのない縁遠い存在と感じている方が多いのではなかろうか(日本酒に対して一定の経験がある人でも「アル添は混ぜものが入っているから」とかいったりするぐらいだからねぇ。確かに唾棄すべき日本酒みたいなものが世にあるのは否定しないが、それが醸造アルコールのせいだとするのは全くの論理のすり替え)。そのために、ネガティブなイメージをすり込まれやすいのではないだろうか。冒頭に挙げた大学生らしき男女二人、飲酒するようになってせいぜい数年というところであろうに、「日本酒は悪酔いする、他の酒(例:焼酎)は悪酔いしない」と言い切れるほどに飲酒経験を持っているのか、甚だ疑問である。

直接日本酒とは関係ないが、先日思い立ってワインについてもう少し向き合ってみようかなぁと思い、気になった本を一冊買い求めた。それは『Dr.Inkerの普通の人のための、普通のワイン読本』という本、1991年の発刊という点は考慮する必要があるが、なかなか軽快で小気味よい内容にて一気に読み終えた。これはワインの全くの初心者向けに、世のワイン入門書の問題点(ラベルの読み方、世界のワイン産地など、膨大な知識を要求しようとする)を指摘しつつ、いかにワインが特別なものではなく、普通に親しめるものであることが示されている。この本の内容、そのまま「ワイン」を「日本酒」と置き換えると結構現状に当てはまるのではないかと思えたりする。というのも、「日本酒」というものが「ワイン」と同じぐらいに「よくわからん酒」と思っている人が少なからずいるのではないかと感じてしまっているためだ。無理に「日本酒」と読み替えなくても、呑み手としての心得を諭す本としてはなかなか良くできた本だと思う。少し内容を触れながら話を進めてみよう。

この本は冒頭にて「あなたは本当にワインを飲みたいのか?」という問いかけから始まる。まず自主的に飲みたいと思うところから始まると、最初の0章(序章というべきか)が当てられている。単純明快な問いではあるが、これはどのような種類の酒と対峙するときの基本だろうと思える。この本の内容から少し日本酒の話に飛ぶが、「誰かに飲まされた」、あるいは「その場の雰囲気で飲んだ」というのは飲んだ経験に入れるべきではないだろう。そういうイメージを取っ払って虚心で向き合うのが第一歩ではないかと。

まず“1,000円の”価格帯の白ワインを味のタイプ別(甘い、やや辛口、辛口)に三種飲み比べることを推奨されている。余計な知識を入れるのではなく、何よりも自分の舌で味わい、自分の好みを見定めることがまず必要であるとしている。実に単純で、何ら難しい話ではない。

ワインの味については次の様に言い切る。
「『味』は飲めばわかります。これは、そうですよね。あなたの舌で味わい、あなたの鼻で香りをかぎ、あなたの舌で温度を感じ、あなたの喉をワインが流れ落ちて『喉ごし』もわかります。香りも、酸味も、甘さも、色も、その他、その夜のワインの持っている物が全てわかります。まず、自分が感じた『味わい』に自信を持ってください。通が、ワインについて何か話す時にはもっと難しい言葉で表現する、などと思い出す必要はありません。あなたが飲んだワインについてのあなたの印象、それがあなたの最初の『ワインの基準』になるわけです」(31ページ)
「『他人の舌は他人の舌。自分の舌は自分の舌』であることをお忘れなく。自分が飲んでおいしいワインを探すんですよ。これが実に大切」(41ページ)
つまりは、余計な知識などなくともワインは楽しめる、自分自身が楽しめることが基本であることを示されているように思える。日本酒の場合、味の表現について「五味」や喉越し等についての用語が存在し、一定の共通認識が為されているが、味の表現などは後からついてくるものに過ぎないと思える。また、
「実は『日常的に飲む』ワインの、収穫年度。葡萄の品種。熟成の度合い。さらに色、香りなどを、『厳しく吟味』したところであまり意味がありません」(63ページ)
と述べているが、これこそ日常の晩酌で頂く、晩酌とまで言わずとも日常生活で飲酒を楽しんでみる、という場合に頂くお酒に通じる話であろうと思える。右も左もわからずに「有名な銘柄」、日本酒の場合なら「原料米の種類」、「特定名称酒の種類」などにばかり気を取られるのは実はもの凄く恥ずかしいことではないかと、過去の自分を振り返ってみてそう思えたりもする。この本では次の様にも書かれている。
「とにかくボルドーの有名なワイン、ブルゴーニュの有名ワインを揃えておけば、『通』やら自称『中流』さんやらが名前に引かれて買ってしまう。(中略)『様々な知識』を初めにひけらかして、極く一部のワイン飲用者が『勝手にややこしくしてしまった』と言って、それほど過言ではないと思います」(65ページ)
ここでの「ボルドーの有名なワイン」を「某誌で賞賛された純米酒」、「ブルゴーニュの有名ワイン」を「プレミアが付くような有名銘柄」、「極く一部のワイン飲用者」を「一部の自称日本酒通」と置き換えると、昨今の日本酒の周囲でよく起こっている出来事ではないだろうか。

最後に、自分の事を棚に上げるわけではないが、次の一節を引用して了としたい。
「ワインを深く知っていればいるほど「通」ぶったりはしないものです。また、安いワインをも愛してくれます」(15ページ)

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コメント
この記事へのコメント
なかなか良い話
前半、おいおい正月早々(+_+)って思いましたが、
後半、なかなか良い話ですね。

執筆者のご意見に共感すると同時に、
酒や肴はacquired tasteだと存じますので、
その道にたけた人が「美味しい」と思う香味に
対する理解への努力は必要かと。
いつまでもおこちゃま味覚で
おいちいおいちい…は哀しいかと。
2009/01/06(火) 08:36:37 | URL | 太鼓持 #LbmlDI2w[ 編集]
オモロー!で納得
あけましておめでとうございます。
師匠同様、後半に共感。まあ酒に対する評のみならず、
少ない人生経験で大言壮語する方は多いですから。

味も思考もオトナになるには、単に年数を経るので
なく、経験と比較級の積み重ねでしょうねー。
2009/01/06(火) 10:29:17 | URL | T.JACK #JnoDGgPo[ 編集]
太鼓持さん、前半は最初のつかみ話程度のつもりが書いているうちに延びてしまいまして。。。(++;)

ご指摘の点、もちろん大いに同感であります。「個々人の味覚に嗜好が規定される」というのは大前提でしょうけど、よほど変わった、偏った食生活をしていない限り、お互いの味覚や嗜好に共有・共感出来る部分が大いにあると考えております。高評価されるにもそれを裏付ける理由があると考えるべきでしょうし。
おそらく筆者がこのような主張をされているのは、他人の嗜好による意見を理解するにも、何よりもまず自らの立ち位置をはっきり掴んでおく必要があろう、ということかと思います。先のステップのための下地造りといいますか…。この本ではこの後、基本的には「自分の舌で判断」ということを前提としますが料理との組み合わせを考えることや、ワインに親しんでいったその先についても触れられていたりします。
2009/01/06(火) 14:29:54 | URL | こねくろ #RuqWbrxY[ 編集]
T.JACKさん、あけましておめでとうございます。
ちょうど興味深い本を見つけたということが大きいですけれども、この記事を書く動機には色々とありましてね(^^;) ここでは明言を避けますが。。。

オトナに向かってぶれないように、経験と比較級を積み重ねていきたいものです。偏見やなんやで方向がズレると暴走していきますもん。
2009/01/06(火) 15:00:31 | URL | こねくろ #RuqWbrxY[ 編集]
いや~、耳の痛い話だなぁと拝見しておりましたが、太鼓持さんのコメントも耳が痛いですわ(^^;

私の場合、呑みが過ぎるのはさておいても、もちっと努力しないとね^^。
2009/01/06(火) 22:19:01 | URL | 呑 #HfMzn2gY[ 編集]
いやいや、呑さんはしっかり飲酒を楽しまれているように拝見しておりますよ。
なにはともあれ、この紹介しました本、なかなか面白い(小気味よい)内容でしたので紹介しておきたいなぁと(^^ゞ
2009/01/06(火) 23:33:19 | URL | こねくろ #RuqWbrxY[ 編集]
出遅れましたが、、、
おめでとうございます。
今年もお酒の記事と猫君達を楽しみにしています。
最近我家も息子が結構好むせいもありワインを飲むことが多いので著者の意見に大いに共感できました。
チリ、スペインなどのかなりお安いもので、掘出し物が結構あることに驚いています。
以前、ワインというとボルドーとかブルゴーニュのものを飲んでいないと語れないとさえ思っていた自分が恥ずかしいです。
しかし、ワイン会などに行くと薀蓄を語る人が必ずいますね。
こねくろさんのおっしゃる>昨今の日本酒の周囲でよく起こっている出来事、、、同感です。
2009/01/08(木) 00:45:10 | URL | miyamiya@管理人 #R1xVVY3g[ 編集]
miyamiyaさん、改めてあけましておめでとうございます。
私もチリなどでCP抜群のワインがあるなぁと、わくわくしてしまうものですよ。

Yブログの方だと、、、救い難い方がおりますね。。。
2009/01/08(木) 01:02:46 | URL | こねくろ #RuqWbrxY[ 編集]
味覚・経験・記憶
・・・「Yブログの方」です(笑)。

私は前半部分も含め、興味深く拝見いたしました。
酒に対しては大らか、かつ自分の好みなんかも追求できるような飲み手になりたいと、
常日頃から思っています。
好奇心は結構なんですが、過度な蘊蓄や押しつけはみっともないですね。
私も気をつけたいと思います。
2009/01/09(金) 15:38:31 | URL | 和 醸 良 酒 #en9qG856[ 編集]
和醸良酒さん、おられる方も千差万別ですね、失礼致しました(^^;)

そうですね、偏見は極力とっぱらわないと自分の好みがなにかもワカランでしょうし。
とりあえず、聞かれたら答えれる範囲で話したりすることはありますが、「蘊蓄振りまいてはるね m9(^Д^)」と後ろ指を指されないようには気をつけたいところであります。
2009/01/10(土) 11:48:29 | URL | こねくろ #RuqWbrxY[ 編集]
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